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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科7巻8号

1979年08月発行

文献概要

総説

脳血管平滑筋の薬物反応性

著者: 戸田昇1

所属機関: 1滋賀医科大学薬理学

ページ範囲:P.723 - P.733

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Ⅰ.はじめに
 脳循環に対する薬物作用とその機序を正しく把握することは,脳循環異常の治療および予防に役立つだけでなく脳循環の生理的調節機構を知るうえにもきわめて重要である.しかるに,脳の循環動態を生体位で正しく記録し,薬物作用を定量的に血管反応と代謝の両面から分析してその機序を明らかにするのは容易ではない.ここ数年来脳の血管を摘出し,その平滑筋の機能特性を明らかにする研究が急速に進展した.本稿では,脳血管平滑筋の神経支配と薬物反応性を定性定量両面よりとり上げるとともに,薬物作用機序に関するこれまでの報告の一端を紹介する.必要に際して,脳以外の臓器組織の血管の反応と比較することによって脳血管平滑筋の機能的特徴をうきぼりにしたい.最近出版された本題に関係した綜説19,35)を参考にされたい.
 血管平滑筋の機能を薬理学的生理学的に定量的に検索するにはふつう,以下の3つのいずれかの方法がとられる.(1)摘出血管をラセン状に切開し矩形条片標本(helical strip)を作成してその張力変化を記録する9).動脈の中膜平滑筋はゆるいラセン状の走行を示すことがヒトの脳動脈で報告されている53).(2)摘出した血管の符腔に2本の細い金属線を挿入し,血管径の増大と減少による張力変化をこの線を介して測定する(ring preparation)7,20).(3)摘出血管片を定圧ないし定流で灌流し,それぞれ流量ないし灌流圧の変化を測定する79)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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