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研究
CT scanによるグリオーマ100例の分析—その所見と腫瘍悪性度との相関
著者: 大井静雄12
所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2 3
ページ範囲:P.759 - P.763
文献購入ページに移動CT scanの臨床への応用がなされて以来,従来の神経放射線学的診断法は大きく変化した.それとともに脳腫瘍における診断のアプローチもCT scanを中心として変化してきた.しかしながら,CT scanにおける腫瘍の組織学的診断はまだ確立されたものではなく,未だ漠然とした鑑別診断の域を脱し得ない.その理由として,1つはCT scanにおける良性及び悪性腫瘍の所見にoverlapしたものが多いこと,そしてもう1つの理由として,各腫瘍の所見でいわゆる"典型像"に関しては一応の見解の一致がみられるが,いくつかの例外があり,今後さらに症例を重ねる必要があること,などがあげられよう.
我々は,CT scanによる脳腫瘍の診断に関していくつかの観点から検討してきたが,今回特にその悪性度の診断について,病理学的に診断さらに分類されたグリオーマの100例のCT scanの所見を分析した.これらの結果より,グリオーマの悪性度を高率に暗示するものとして,1)post infusion homogenecity(central low densityのあるものでは,壁の厚さと不規則性),2)peritumoral edema,3)腫瘍の辺縁の不規則性,があげられる.また悪性度と相関性の乏しいものとして 1)preinfusion density,2)contrast enhancelnent,があげられ良性・悪性にoverlapする所見として注意する必要があると思われる.
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