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研究
脳神経外科における脂肪塞栓症候群
著者: 川野信之1 森井誠二1 大和田隆1 矢田賢三1 神田哲郎2 山田泰史2
所属機関: 1北里大学脳神経外科 2北里大学病理
ページ範囲:P.765 - P.771
文献購入ページに移動脂肪塞栓症候群は外傷,ことに骨折の重大な合併症であり,主として整形外科領域においてよく知られ報告も多い.一方,本症候群はその60-70%3,9)と高率に脳症状を伴い,しかも外傷後一定のfree interval(無症状期)を経て発症してくるので,多発外傷例においては頭蓋内血腫との鑑別が重要であり,その意味において脳神経外科医も本症候群を認識しておく必要がある.
脂肪塞栓症候群は欧米において約1世紀前より多くの報告があり,決して稀な疾患ではないが,本邦においての報告は少なく,50例前後の症例報告を見るのみである.また,神経学の分野よりの本症候群の報告は欧米においても少なく5,17,18,33),本邦では金谷10),中山11),山城ら27)の6例と荒木1)によるもののみであり,神経学的側面からの検討はいまだ充分になされてはいない.著者らは剖検例を含む3症例を経験したので,本症候群の臨床診断,特に脳症状について検討を行い報告する.
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