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症例
交叉性失語のCT像
著者: 兵頭明夫1 牧豊1 中川邦夫1 榎本貴夫1 秋本宏1
所属機関: 1筑波大学脳神経外科
ページ範囲:P.791 - P.796
文献購入ページに移動Bramwell3)により初めて報告された交叉性失語とは,利き手と同側の脳半球の障害により生じた失語であるが,純粋な右利きの交叉性失語の報告例はかなり稀であり,本邦においても,井村ら8)によって第1例が報告されて以来,局在の明らかな症例は10例に満たない.現在までの報告例は主として剖検でその局在を確認しているが,失語症状を呈している時期との時間的ズレの存在は,その結論に微妙な影響を与えているかもしれない.近年CTスキャンにより,症状を呈した時期との時間的距離なしに,剖検所見にほぼ準じた所見で得ることができるようになり,失語症のCT上の局在に関する報告も散見されるようになった6,14).最近われわれは,右利きの交叉性失語の症例を経験したので,そのCT像に検討を加えて報告するとともに,若干の文献的考察を加えて,右利きの交叉性失語のCT像について検討する.
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