文献詳細
文献概要
症例
脈絡叢癌の1例
著者: 早川勲1 藤原一枝1 土田富穂1 青木幹男2
所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科 2東京都立墨東病院中央検査科病理
ページ範囲:P.815 - P.818
文献購入ページに移動脈絡叢乳頭腫は原発性脳腫瘍の0.5%前後9),小児脳腫瘍のうちでも1%(Koos,1971)6)にすぎない比較的稀れな腫瘍とされているが,そのなかに,時として組織学的に特異な悪性像を示し,周囲組織へ浸潤を示すもののあることが知られている,これは悪性脈絡叢乳頭腫malignant papilloma of choroid plexus,あるいは脈絡叢癌choroid plexus carcinoma(Rokitansky,1844)12)と呼ばれている,しかし,従来報告された症例のなかには,単にくも膜下腔への播種性転移subarachnoid seedingを示したというだけで,安易にmalignant papillomaという呼称が用いられてきたきらいがある(Zülch,1957)18),Dohrmann & Collias(1975)によれば,これまで60例余が本症として報告されているが,その多くは病理組織学的診断基準に問題があり,Russell & Rubinstein(1971)14)の診断基準に合致したものは22例にすぎないという.
著者らは,最近,末期に脛骨転移をみたきわめて興味ある本症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する,なお,本例は生後2カ月時に発症,従来の報告例中最年少例である.
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