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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科8巻1号

1980年01月発行

文献概要

総説

睡眠と脳波

著者: 松岡成明1

所属機関: 1産業医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.7 - P.21

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はじめに
 目がさめていることと,睡っていることとは何によって分けられるのかというと難しい問題である.昔の睡眠の定義からいうと,静かにして動かないこと,刺激に対する感受性が鈍っているが,刺激を強くすると覚醒にもどることであった、身体的には目をつむって,呼吸が規則正しく,息はすやすやと聞こえて,少しぐらいの刺激では目をさまさず,体に力がなく,ぐったりした状態である.このように昔はヒトの睡眠は身体の観察にのみ頼っていた.しかしBerger(1929)14)が脳波を発見して以来,上記の状態と脳波との相関に関する仕事が多くなり,脳波が睡眠の研究を全くかえてしまったということができる.したがって,睡眠については古くから数多くの研究が行なわれてきた.たとえば睡眠中の自律機能の変動,精神機能,特に夢の研究.また一晩の間に起こる睡眠の深さの変動,さらに睡眠を起こす脳のメカニズムや睡眠中枢の問題も,興味の中心であった.わが国における研究は,おもに睡眠自体に対する興味の観点よりはむしろ衛生学的,労働科学的などの領域ではじめ熱心に行なわれた37,69,97).近代文明が川園的な生活を侵蝕して,睡眠をとる時刻,睡眠(持続)時間などに,いわば不自然な偏りを強いるようになった69).睡眠現象をのせている生物学的リズム,睡眠時間の季節的変化,年齢との関係,夜勤などの労働条件による不自然な睡眠の健康におよぼす影響などから不眠をはじめとする病的な睡眠状態が広く調べられている97)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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