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研究
CT scanによる脳腫瘍のperitumoral edemaとcontrast enhancementの分析—ステロイド投与の適応の検討
著者: 大井静雄1
所属機関: 1神戸大学医学部脳神経外科 2 3
ページ範囲:P.935 - P.940
文献購入ページに移動CT scanは,脳腫瘍の診断とそのfollow upに不可欠の補助診断法であると同時に,脳腫瘍に付随するperitumoral edemaに関する情報を得るうえで重要な検査法である.このPeritumol edemaに対するGalicichらのdexamethasoneを用いた画期的か非観血的治療法の研究発表(1961年)以来,ステロイド療法は脳腫瘍の治療の一環をなしてきた.しかし,このステロイドの臨床的効果は常に満足できるものではなく,ときに重篤な合併症により患者を死に至らしめることもある.類似した神経学的所見を呈する脳腫瘍の症例で,ステロイドの効果は一方では劇的であり,一方では全く反応を示さない現象を如何に解釈すべきか.われわれはこの観点より,ステロイド投与の適応につき腫瘍のGT scan所見を分析し,peritmnoral edemaのpathogenesis,および想像されるステロイドの作用機序の検討を試みた.
合計201例の脳腫瘍(グリオーマ,メニンジオーマ,転移陸脳腫瘍)につき,そのperitumoral edemaとcontrast enhancementの程度およびその相関性を分析した.転移性脳腫瘍の59%,グリオーマの46%,メニンジオーマの34%に有意義なperitumoral edemaしが認められた.
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