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症例
外傷性急性小脳内血腫の1治験例
著者: 作田善雄1 作田由美子2
所属機関: 1北茨城市立病院脳神経外科 2北茨城市立病院外科
ページ範囲:P.1087 - P.1092
文献購入ページに移動外傷性急性後頭蓋窩血腫は,明確な局在脳神経症状を示さずに早期から重篤な脳幹圧迫症状を来たすので,適切な血腫除去,減圧術を行わないかぎり,すみやかに死の転帰をたどることにおいて,天幕上血腫の比ではない,比較的稀といわれる後頭蓋窩血腫であるが,その存在が広く認識されるようになってからは報告例も相次ぎ,硬膜外,硬膜下血腫については枚挙にいとまがないほどである.しかし,小脳内血腫にかぎって検討してみると,欧米で26例,本邦で4例報告されているだけで,このうち診断,治療上問題となる急性期症例は13例のみである.
今回われわれは,後頭部打撲によって発生した典型的な外傷性急性小脳内血腫例を手術によって救命し,何らの神経症状も残すことなく治癒せしめえたので,文献的考察を加えて報告する.
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