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Case Study
髄液過剰産生による水頭症を呈した第3脳室内choroid plexus papilloma
著者: 駒井則彦1 竹綱晟記2
所属機関: 1和歌山県立医科大学脳神経外科 2和歌山労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.121 - P.129
文献購入ページに移動choroid Plexus papillomaは全脳腫瘍中,0.4-0.6%の頻度6,26,38)を示す比較的稀な腫瘍である.また,この腫瘍は多くの興味ある特徴をもっている.すなわち,1歳未満の小児に多く23,29),ときには胎生期に発生した例も報告され5,7,22),髄液過剰産生を伴い8,11,14,19,23,28,30),交通性または閉塞性水頭症や稀には腫瘍よりの出血によるくも膜下出血で発症し1,10),成人と小児では好発部位が異なり23,29,34),組織学的にはほぼ正常choroid plexusと同様な構造を示すが,髄液腔にseedingしたり3,16,23,34),ときには悪性化7,23,30,35,36)し他臓器に転移35)するなどである.
われわれは7歳9カ月の男児の第3脳室内choroid plexus papillomaを全剔し完治さすことができたが,この症例は生後6力月より水頭症として治療し,経過中に髄液過剰産生を認めたものである.示唆に富んだ症例であるため,ここに全経過を紹介する.
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