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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科8巻2号

1980年02月発行

文献概要

症例

腫瘍内大量出血をきたした聴神経鞘腫の1例

著者: 馬場元毅12 伊関洋12 熊谷頼佳1 杉山弘行1 名和田宏1

所属機関: 1都立荏原病院脳神経外科 2東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科

ページ範囲:P.193 - P.197

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Ⅰ.はじめに
 ある種の良性腫瘍において,くも膜下出血をはじめとする頭蓋内出血をきたすことは稀ながら,これまでにもいくつかの報告1,2,4,6-8,10,13,15,20)がある.しかし,聴神経鞘腫においては,組織像の観察にては血管床が豊富であったり,ヘモジデリン沈着が著しかったりすることから,腫瘍内出血の既往をうかがい知る程度のことはあっても,症状の急激な悪化を招来せしめるような大量出血や腫瘍被膜を破ってくも膜下出血をひき起こすような出血は意外に少ないようである.特に,くも膜下出血にて発症した聴神経鞘腫は現在までに2例3,13)の報告をみるにすぎない.
 著者らは最近,臨床症状,CTスキャンなどから聴神経鞘腫と診断され,入院観察中に突然の臨床症状の悪化をきたした症例を経験した.症状悪化後のCTスキャンにて急激な腫瘍陰影の増大を認め,緊急手術の結果,聴神経鞘腫の被膜内大量出血であることを認めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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