文献詳細
文献概要
研究
長期クリッピング,結紮による頭蓋内血管壁の経時的,組織学的変化—第1報 実験的研究
著者: 蛯名国彦1
所属機関: 1弘前大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.247 - P.261
文献購入ページに移動Ⅰ.緒言
その破裂がくも膜下出血の主因となる21)脳動脈瘤の治療としては,頭蓋内直接手術による脳動脈瘤柄部のクリッピング,ないしは結紮が最も安全かつ確実な方法と考えられ6,25,29,34,35)広く用いられている.しかし,perma-nent clipping,または結紮の行われた部位の動脈瘤柄部血管壁の変化に関しては,従来ほとんど検索がなされていないようである.完全な血流遮断を必要とする動脈瘤柄部のクリッピングまたは結紮では当然,同部血管壁の栄養障害もきたすはずであり,特に,近年数多く考案実用化されている締挾力の強いspring typeのクリップを使用した場合には,より強い機械的非停止性圧迫が加わり,更には,剪断作用も加わることから血管壁の壊死,断裂の可能性も考えられる.更にまた,異物としてのクリップおよび,結紮糸周囲の組織反応の問題もあり,材質による相違も検討の必要がある.以上の点を明らかにする目的で,本研究ではイヌの脳血管に種々の条件下でクリッピンゲまたは結紮を行い,最長2年6カ月間にわたる経時的,組織学的検索を行った.
その破裂がくも膜下出血の主因となる21)脳動脈瘤の治療としては,頭蓋内直接手術による脳動脈瘤柄部のクリッピング,ないしは結紮が最も安全かつ確実な方法と考えられ6,25,29,34,35)広く用いられている.しかし,perma-nent clipping,または結紮の行われた部位の動脈瘤柄部血管壁の変化に関しては,従来ほとんど検索がなされていないようである.完全な血流遮断を必要とする動脈瘤柄部のクリッピングまたは結紮では当然,同部血管壁の栄養障害もきたすはずであり,特に,近年数多く考案実用化されている締挾力の強いspring typeのクリップを使用した場合には,より強い機械的非停止性圧迫が加わり,更には,剪断作用も加わることから血管壁の壊死,断裂の可能性も考えられる.更にまた,異物としてのクリップおよび,結紮糸周囲の組織反応の問題もあり,材質による相違も検討の必要がある.以上の点を明らかにする目的で,本研究ではイヌの脳血管に種々の条件下でクリッピンゲまたは結紮を行い,最長2年6カ月間にわたる経時的,組織学的検索を行った.
掲載誌情報