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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科8巻4号

1980年04月発行

文献概要

Case Study

重症脳外傷に影響した内頸動脈海綿静脈洞瘻

著者: 岩田金治郎1 渡部三郎1

所属機関: 1愛知医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.329 - P.334

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I.はじめに
 頭部外傷急性期の治療は,第一に全身の管理,同時に専門的にその病型の分類から始まる.陥凹骨折があれば,脳の損傷を最小にとどめるためにこれを修復し,頭蓋内血腫の発生では脳圧迫が起こらぬようこれを除去し,脳挫傷が考えられれば脳浮腫,脳ヘルニヤを予防,軽減させるため頭蓋内亢進に対する処置を施す.一般にいわゆる重症脳外傷ではこれらは混在し,相乗的に病態を悪化させていることが多く,各方面より慎重な検討,対策が練られている.
 一方,外傷性内頸動脈海綿静脈洞瘻traumatic internal carotid cavernous sinus fistule (ICCF)は,脳神経外科の臨床で誰もが忘れかけた頃に遭遇する程度の,多くはないが決して珍しいものでなく,特に雑音を伴う拍動性眼球突出pulsating exophthalinos with bruitという特異な臨床像でkey word的に診断を思いつき,その根治に工夫を凝らす病態で,本疾患は現在主としてその治療法に脳神経外科医の関心が寄せられている.ICCFは一般に急性期が去ってから対策が講ぜられ,脳循環障害が問題になることは稀であるが,われわれは外傷性脳浮腫がICCFの合併により著しく増悪され,その血流の改善により急速に消退,回復に向かった重症脳外傷例を経験したのでcase studyとして紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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