Neurological Surgery 脳神経外科8巻5号

1980年05月発行

症例

くも膜下出血で発症した第3脳室内頭蓋咽頭腫の1例

著者： 久保田紀彦¹ 藤井博之¹ 池田清延¹ 伊藤治英¹ 山本信二郎¹ 中西功夫²

所属機関： ¹金沢大学脳神経外科 ²金沢大学第1病理

ページ範囲：P.495 - P.501

Ⅰ．はじめに
　頭蓋咽頭腫は稀に第3脳室内に限局して発育し^4-6,15），その臨床症状はもっぱら頭蓋内圧亢進の症状を呈し，視神経障害や下垂体一視床下部系のホルモン欠損症状を全く示さない．われわれはくも膜下出血で発症した頭蓋咽頭腫の剖検脳を検索したところ，腫瘍は第3脳室内に限局して発育しており，視床下部の脳組織内に腫瘍の発生母地を思わせる所見を見出したので，この稀な症例を若干の文献的考察を加えて報告する．