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中枢神経における転移性腫瘍について—病理学よりみた解説—第1部—
著者: 平野朝雄1 北條俊太郎12
所属機関: 1モンテフィオーレ病院神経病理学科 2現籍・東京大学脳神経外科学教室
ページ範囲:P.509 - P.518
文献購入ページに移動毎週Montefiore Hospitalでbraincuttingをして約24年余りになりますが,そのなかでも癌の剖検例は最もよくみられる症例の1つです.この悪性腫瘍の脳転移の病理所見につきましては昔から数々の論文が,当病院より発表されております5-7,15-17,19).そのなかで,多数例をまとめました論文としましてはDr, LesseとDr.Netzkyの研究があります15).これは1938年より1947年の間に癌で死亡した595例の全身解剖症例中,中枢神経およびmeningesに転移した207例について分析したものです,その後1959年に,Dr.Barron,荒木淑郎先生,およびDr.Jerryと一緒に,127例の脊髄に転移した腫瘍の臨床および病理所見を発表したことがあります4).このたび,1950年より1974年に至る最近25年間の全身解剖例中,悪性腫瘍のみられた3,849例につき,資料をまとめることができましたので13),その大要をここに紹介したいと思います.この資料の詳細な成績につきましては,転移性脳腫瘍の単行本に英文にて発表されることになっております14).なお,中枢神経の転移性腫瘍に関する文献としましてはWillisの本23)および脳腫瘍一般につきましての成書の一部に記載されておりますので参考までに紹介しておきます1,3,11,20,21).
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