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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科8巻7号

1980年07月発行

文献概要

総説

中枢神経における転移性腫瘍について—病理学よりみた解説—第2部—

著者: 平野朝雄1 北條俊太郎12

所属機関: 1モンテフィオーレ病院神経病理学科 2東京大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.599 - P.603

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Ⅳ.転移した場所について(承前)
 B.軟膜への転移(Fig. 22)
 腫瘍が軟膜に転移した場合は,脳実質内に転移した場合と異なり,くも膜下腔内を拡がり,leptomeningeal carcinomatosisと呼ばれる病変をきたします.この場合に腫瘍細胞はくも膜下腔全般に拡散され,更に脳室内にも侵入します,しかし局所的に腫瘍細胞の集団をつくりplaquesとして認められることもあり,腫瘍細胞の浸潤の程度が軽い場合には肉眼的にはわかりにくいこともあります.くも膜下腔の広い部分,例えば脳底部には強い浸潤がみられ,髄液の経路が阻止されることによりhydrocephalusをきたすことになります.一般にくも膜下腔にあるarachnoid細胞,線維芽細胞,および血管は腫瘍細胞の浸潤に対して強く反応し,その増殖をきたし,膠原線維の増加を伴います.
 くも膜下腔の腫瘍細胞は血管周囲腔にそって脳の表面から侵入します(Fig. 23, 24).また腫瘍細胞はくも膜下腔を貫通する脳神経や脊髄神経根内に浸潤し,神経束間更にときには1本1本の神経線維間にすら侵入します.これに伴い軸索およびSchwann細胞とそのmyelinの崩壊をきたすことになります(Fig. 25).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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