文献詳細
文献概要
症例
経過観察中にlow densityからhigh densityに移行した慢性硬膜下血腫
著者: 兵頭明夫1 能勢忠男1 榎本貴夫1 牧豊1
所属機関: 1筑波大学臨床学系脳神経外科
ページ範囲:P.649 - P.653
文献購入ページに移動慢性硬膜下血腫のCT所見は最近注日を集めており報告も多い1,4,5,6,8).またCTよりその成因にせまる報告もみられるようになってきた9).
著者らは,1977年1月から1979年9月までの間に,頭部外傷後のCTスキャン1,824例を経験しているが,そのうち16歳以上の成人例で,CTスキャン上,前頭部脳表に,いわゆるfluid collectionを思わせる低吸収域のみられる症例が40例あった.更に,これらの症例のfollow-up中に,低吸収域が,出血によると思われる高吸収域へとdensityを変え,慢性硬膜下血腫に移行した例を2例経験した.この症例にみられるように,外傷後の脳表のfluid collection中への出血も慢性硬膜下血腫の成因の1つと考えられるので,若干の文献的考察とあわせて報告する.
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