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成長ホルモン—脳神経外科との関連で
著者: 武田成正1 戸金隆三1 難波修1 中村公一1 兵頭常一1 井上和子1 入江実1
所属機関: 1東邦大学医学部第一内科
ページ範囲:P.691 - P.699
文献購入ページに移動成長ホルモンgrowth hormone(GH)は,下垂体前葉の好酸性細胞から分泌されるホルモンで,191個のアミノ酸からなる,分子量約22,000のポリペプチドホルモンである1).このGHの作用は,身長および体重増加を促進する成長促進作用のほかに,蛋白質代謝,脂質代謝,糖質代謝,水・電解質代謝等の物質代謝調節に広く関与していることはよく知られている(Table 1).このようにGHは多彩な代謝作用を有するために,何らかの原因により過剰に分泌されたり,また異常に分泌低下を来たしたような場合,さまざまな病的状態として現われるのである.しかし,GHの分泌異常により病的状態が惹起されることが真の意味で明らかにされたのは,1962年Bersonら2)の研究グループがGHのRadioimmunoassay(RIA)による測定法を確立してからである.
本稿では,GHの過剰分泌による疾患として末端肥大症および下垂体性巨人症を,GHの分泌低下による疾患として下垂体性小人症を,その病因,症状,診断,治療について述べることにする.
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