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Case Study
減圧開頭術が有効であった脳静脈・上矢状静脈洞血栓症の1例
著者: 大矢昌紀1 佐藤修1
所属機関: 1東海大学脳神経外科
ページ範囲:P.803 - P.810
文献購入ページに移動I.はじめに
脳静脈・静脈洞血栓症については19世紀前半より種種の記載がある.初期には耳鼻の感染症に続発するものが知られ,のちには産褥期,経口避妊薬内服,血液疾患,手術の合併症として発症するもの,原因不明で特発性といわれるものが多数報告されている.しかも,その病態が障害される血行動態により,軽度の頭痛のみで経過するものから重篤なものまで多様で,診断が困難なことがあり,初期には剖検で確定診断がなされたことが多く致命率の高い疾患とされたが,近来では脳血管撮影で軽症例でも診断が可能となり,死亡率としては低下した.しかし,急性期に重篤な経過をとる症例に対する治療は,現在もなお議論のあるところである.
著者らは頭痛,片麻痺,けいれんで発症し,頭蓋内圧亢進,出血性梗塞に対し減圧開頭術を行い救命しえた1例を経験し,その病態,検査および経過をふり返ってみたい.
脳静脈・静脈洞血栓症については19世紀前半より種種の記載がある.初期には耳鼻の感染症に続発するものが知られ,のちには産褥期,経口避妊薬内服,血液疾患,手術の合併症として発症するもの,原因不明で特発性といわれるものが多数報告されている.しかも,その病態が障害される血行動態により,軽度の頭痛のみで経過するものから重篤なものまで多様で,診断が困難なことがあり,初期には剖検で確定診断がなされたことが多く致命率の高い疾患とされたが,近来では脳血管撮影で軽症例でも診断が可能となり,死亡率としては低下した.しかし,急性期に重篤な経過をとる症例に対する治療は,現在もなお議論のあるところである.
著者らは頭痛,片麻痺,けいれんで発症し,頭蓋内圧亢進,出血性梗塞に対し減圧開頭術を行い救命しえた1例を経験し,その病態,検査および経過をふり返ってみたい.
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