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研究
Suprasellar germinomaおよび原発性Suprasellar choriocarcinomaの臨床病理学的検討
著者: 藤田勝三1 大洞慶郎1 藤原潔1 玉木紀彦1 松本悟1 松倉茂2
所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2神戸大学第3内科
ページ範囲:P.819 - P.826
文献購入ページに移動suprasellar germinomaは,第3脳室先端部から視交叉部に原発するtwo cell pattern pinealomaで,ectopic pinealomaと呼ばれており,また景山2,3)らにより尿崩症,視力障害および下垂体前葉機能低下症の特徴的な三主徴を有する疾患名として報告されている.しかし1954年,Russell5)はinfundibular-suprasellar regionに発生するectopic pinealomaは松果体の実質細胞とは無関係であり,松果体部のatypical teratomaと組織学的に同一であると述べ,またFriedman1)が,発生場所の如何にかかわらず,seminomaあるいはdysgerminomaと同様の組織学的特徴を有したものをgerminomaと命名して以来,一般に第3脳室先端部から視交叉部に原発するectopic pinealomaはsuprasellar germinomaと呼ばれている.われわれは手術および剖検により確認された9例のsuprasellar germinomaと,胞体がエオジンに好染する不規則な形をした大型のchorioepithelioma cellに類似する細胞からなる,稀な原発性suprasellar choriocarcinomaの1例を経験したので,これら10例の臨床,病理所見および内分泌学的所見について,文献的考察を加えて報告する.
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