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症例
中枢神経系サルコイドーシスの1例
著者: 大家一夫1 谷川公一2 菅沼康雄3 松島善治4 稲葉穣1
所属機関: 1東京医科歯科大学脳神経外科 2板橋中央総合病院脳神経外科 3北病院脳神経外科 4武蔵野赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.75 - P.78
文献購入ページに移動サルコイドーシスは本来全身のあらゆる器官を侵す系統的疾患であるが,神経症状を伴うものは5%前後とする報告が多い5,10,18,20).一疾患単位としてサルコイドーシスが最初に報告されたのは1899年Boeckによってであるが,彼の報告した28例中,神経系罹患を指摘されているものはない.1905年Winklerが末梢神経系罹患例を報告して以来,諸家により神経症状の罹患例が報告されている1,6,11,14).しかし,そうした神経症状の合併例は,胸部X線上,両側肺門リンパ節腫脹や,虹彩炎による視力障害,肺換気能低下による易疲労性,咳嗽等の症状を認めることから,既にサルコイドーシスの診断がついている者に神経症状が発現してきた場合が大部分で,神経症状および神経学的検査所見そのものから本疾患が疑われたという報告は少ない20).
われわれは,閉塞性水頭症による脳圧亢進症状のあった患者に,脳室外誘導を施して脳圧亢進の危機を脱し,その後の検査で脳室,特に第4脳室の著しい拡大と,Luschka, Magendie孔の閉塞を認めたことからサルコイドーシスを疑い8,9),リンパ節生検,Kveim反応により診断を確定し,ステロイドの投与により著明な症状の改善をみた1例を経験したので報告し,文献的考察を加える.
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