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症例
Tortuous vertebro-basilar systemによる三叉神経痛とHemifacial spasmの合併例
著者: 新妻博1 池田俊一郎1 大山秀樹1
所属機関: 1東北大脳研脳神経外科
ページ範囲:P.1167 - P.1170
文献購入ページに移動今回われわれは左三叉神経痛に同側のhemifacial spasmを伴った1例を経験し,椎骨動脈写にてtortuous vertebrobasilar systemが左方偏位し,小脳橋角部で屈曲し,この部で三叉神経および顔面神経を圧迫しているものと推定される所見を得た.本例ではneurovasscular decompressionの施行を考えたが,患者自身が開頭手術を望まず,除痛のみが得られればよいとの希望であったため,経皮的にGasser神経節のcontrolled thermo coagulationのみが施行された.
最近,三叉神経痛やhemifacial spasmの病因として,それぞれの神経が血管により圧迫されて生ずるのではないかとの説が注目されているが10,11),その多くは血管写で確認できないような小動脈あるいは稀に静脈による圧迫とされ,本例のように,椎骨—脳底動脈系による直接の圧迫により三叉神経痛とhemifacial spasmを合併したと考えられる例は稀であると思われるので報告する.
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