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総説
脊髄の循環—血管分布を中心とした考察
著者: 萬年徹1
所属機関: 1東京大学神経内科
ページ範囲:P.1223 - P.1228
文献購入ページに移動I.はじめに
歴史的に見ると,脳の血管撮影の開発と普及が神経疾患の診断ばかりでなく,脳の血管分布,循環動態に関する研究を促進する大きな要素になったことは周知の事実である.
最近,脊髄の血行動態が問題となってきた理由の1つとして,脳の場合と同様,その血管造影の実用化を挙げることができよう,脳血管撮影が臨床的に活用されるまでにはかなりの時間を要したが,脊髄の血管造影の手技が確立され,今日のように普及されるまでの時間は,脳の場合と比較すると,かなり短いものであった.脊髄血管造影の技術は脳血管撮影の技術が下地となっていること,放射線機器のめざましい改良があったことを考えれば,両者の時間的な差は容易に理解できる.しかし,大動脈から根動脈を介して脊髄血管を造影するというアイディアの根底には,脊髄の血管分布,血行動態に関する地道な研究が横たわっていたことを忘れてはならない.
歴史的に見ると,脳の血管撮影の開発と普及が神経疾患の診断ばかりでなく,脳の血管分布,循環動態に関する研究を促進する大きな要素になったことは周知の事実である.
最近,脊髄の血行動態が問題となってきた理由の1つとして,脳の場合と同様,その血管造影の実用化を挙げることができよう,脳血管撮影が臨床的に活用されるまでにはかなりの時間を要したが,脊髄の血管造影の手技が確立され,今日のように普及されるまでの時間は,脳の場合と比較すると,かなり短いものであった.脊髄血管造影の技術は脳血管撮影の技術が下地となっていること,放射線機器のめざましい改良があったことを考えれば,両者の時間的な差は容易に理解できる.しかし,大動脈から根動脈を介して脊髄血管を造影するというアイディアの根底には,脊髄の血管分布,血行動態に関する地道な研究が横たわっていたことを忘れてはならない.
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