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Case Study
椎骨脳底動脈の解離性動脈瘤
著者: 関野宏明1 中村紀夫1 加藤康雄1 馬杉則彦2
所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科 2関東労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.125 - P.133
文献購入ページに移動これまで脳血管の解離性動脈瘤は,頭蓋内外を問わず比較的稀れなものであるとされてきた.特に椎骨脳底動脈領域の解離性動脈瘤の報告は少なく,調査いえた範囲では28例(非外傷性のみ)にすぎない1-7,9,10,13,14,16,17,20-33).最初の報告例はScholenfield(1924)25)による47歳男性の剖検例であった.更にこれら28例のうち25例は剖検により診断されたものであり,臨床診断がなされたものはわずか3例(われわれの2例を含めて5例)にすぎない.このうち,Ouchiら(1965)20)の例は椎骨動脈起始部の動脈瘤と診断され,手術による切除標本から確定され,Wagaら(1978)29)の例はsaccular aneurysmとされ手術所見から診断された.血管撮影により診断された例はFischerら(1978)10)の1例のみである.われわれの2例は血管撮影により診断された第2,3例目にあたる.
文献例を渉猟すると内頸動脈領域を含めても脳血管の解離性動脈瘤の報告はたしかに少ないのであるが,従来考えられているほど少ないものではないという報告もある.Ehrenfeld & Wylie(1976)8)は10年間に19例(いずれも頸動脈領域)を,Fischerら(1978)10)は,22例(うち1例は椎骨動脈)をいずれも脳血管撮影上発見したと報告い血管撮影上の所見を詳細に述べている.
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