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症例
C7椎弓骨折,硬膜外血腫を伴った急性中心性頸髄損傷の1例
著者: 元持雅男1 牧田泰正1 鍋島祥男1 板垣徹也1 鄭台頊1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院脳神経外科
ページ範囲:P.191 - P.194
文献購入ページに移動急性中心性頸髄損傷症候群syndrome of acute central cervical spinal cord injuryは,Schneider10)(1954年)の命名による.主に,頸部の過伸展外傷により起こるが,椎骨動脈不全症に起因することもある12).上肢筋麻痺が下肢筋麻痺より強いこと,膀胱障害(通常は尿閉),および病巣以下の知覚障害が,その特徴とされる.頭側,尾側に伸展する,脊髄内出血を伴う中心性脊髄破壊の際には,完全四肢麻痺または死亡をも来たしうる.しかしながら,浮腫型の中心性脊髄病変を有する震盪,挫傷によるものでは,一定の順序で機能回復を期待しうる.回復の程度は,出血の拡がりに対する浮腫の程度による.下肢筋力が最初に戻り,次いで膀胱機能,のちに上肢筋力が回復するが,手指筋の巧緻運動障害が最後まで残る.知覚障害の回復には,一定の決まった型はないという.われわれは,C7椎弓骨折,硬膜外血腫を伴う急性中心性頸髄損傷の1例を経験したので,文献考察を加え報告する.
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