文献詳細
先達余聞
文献概要
筆者が東大の青山徹蔵先生の許で外科学を勉強したのは昭和11年までであった.先生が眼を悪くされて隠退の決意をされたのが同年6月であったが,その前後,教室の図書室で新着のKirscher-Nordmannの外科手術書を読んでいた時,この教科書のなかに脳外科に関する項目があり,毎日これを読んでいるうちに,わが国における脳外科がアメリカのそれと比較して著しくおくれているのに気がついた.そこで筆者は,それまでに習得した一般外科学にひとつの区切りをつけて,このわが国における未開発の外科分野--脳外科の勉強に足を踏み入れることを考えたのである.
しかし,この目的のためにはアメリカに行くのがよいということはわかったにしても,そのアメリカの何処に行ったらいいかということは全く不明であった.そこで筆者なりにいろいろ調べたところ,彼の国で最も名声が高かったのはH.W. CushingとW.E. Dandyであるらしいということがおぼろげながらわかった.DandyはCushingより17歳若いということ,Cushingはもしかしたらもう隠退しているかもしれないという心配もあり,筆者は勉学の目的地にMarylandのBaltimore市Johns Hopkins大学附属病院の脳外科を選んだわけである.いろいろつてを求めてDandy教授(associate professor)からの許可をもらって出かけたのである.
しかし,この目的のためにはアメリカに行くのがよいということはわかったにしても,そのアメリカの何処に行ったらいいかということは全く不明であった.そこで筆者なりにいろいろ調べたところ,彼の国で最も名声が高かったのはH.W. CushingとW.E. Dandyであるらしいということがおぼろげながらわかった.DandyはCushingより17歳若いということ,Cushingはもしかしたらもう隠退しているかもしれないという心配もあり,筆者は勉学の目的地にMarylandのBaltimore市Johns Hopkins大学附属病院の脳外科を選んだわけである.いろいろつてを求めてDandy教授(associate professor)からの許可をもらって出かけたのである.
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