文献詳細
文献概要
症例
重症頭部外傷によるNeurogenic pulmonary edema—症例報告と発生機序に関する考察
著者: 重森稔12 緒方武幸3 白浜盛久1 徳富孝志1 草野則文3 中嶋修3
所属機関: 1大牟田市立病院脳神経外科 2社会保険田川病院脳神経外科 3久留米大学脳神経外科
ページ範囲:P.331 - P.335
文献購入ページに移動頭部外傷,脳血管障害,その他種々の中枢神経障害に伴って急性肺水腫が発生することは古くからよく知られている2,16,17,19).また,その発生機序についても以前から種々検討がなされてきている4,6,7,11).しかしながら,臨床上遭遇する大部分の症例では,原疾患発症前後の身体的要因や治療過程での諸要素等の複雑な因子が,直接,関接の原因と考えられることが多いようである.したがって,Grafら8)の報告のように古典的ないわゆるneurogenic pulmonary edemaと考えられる症例は実際には極めて少ないと思われる.
最近,われわれは重症頭部外傷後,極めて短時期で急性肺水腫の臨床症状を発現した小児例を経験した.本例は厳重な呼吸循環管理にもかかわらず,受傷後約8時間で死亡したが,その臨床経過や検査所見等から頭部外傷に起因したneurogenic pulmonary edemaと考えられるため,症例を呈示し,その発生機序につき若干の考察を加えて報告する.
掲載誌情報