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症例
脳底動脈瘤術後に中脳型Foville症候群を呈した1例
著者: 高瀬学1 佐伯直勝1 岡信男1 小滝勝1 佐藤章1 山浦晶2
所属機関: 1川崎製鉄千葉病院脳神経外科 2千葉大学脳神経外科
ページ範囲:P.343 - P.347
文献購入ページに移動近年microsurgeryの進歩により,脳底動脈分岐部動脈(aneurysm of bifurcation of basilar artery)の直達手術成績は向上しつつある.いかしこの部の動脈瘤は中脳の腹側部に位置しており,後交通動脈や後大脳動脈から脳幹部へ多数の穿通枝が入っているために,手術の際はこれらを保存することに細心の注意が必要である.脳底動脈瘤の手術手技と手術成績については,これまで多くの報告がなされているが3,6,8,10,12,13,15,16),上述した中脳穿通枝の障害によると思われる神経症状の報告は少ない3,6,8).
われわれは最近脳底動脈瘤の術後に,手術側の反対側の後大脳動脈正中部穿通枝(P1 parforating arteries)の一過性の血流障害に起因すると思われる,中脳型Foville症候群とWeber症侯群の合併例を経験したので,その発生機序について若干の文献的考察を加えて報告する.
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