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症例
先天性心疾患を合併した脳動静脈奇形—脳血管奇形と心肺機能に関する考察
著者: 植村正三郎1 高本憲治1 松角康彦1 石橋健治朗2
所属機関: 1熊本大学脳神経外科 2熊本赤十字病院小児科
ページ範囲:P.377 - P.383
文献購入ページに移動先天性心疾患(以下CHD)と脳動脈瘤の合併についての報告は多く,特に大動脈縮窄と動脈瘤合併の頻度が高いことは脳動脈瘤発生の原因を先天性とするひとつのよりどころとなっている17).しかし一方では大動脈縮窄および合併したpolycystic kidney等に伴う高血圧と早期から現れる高度のアテローム変性が二次的に脳動脈瘤発生に関係しているに過ぎないとする意見もある22).
一方,脳動静脈奇形(以下AVM)の発生を先天的な脳血管発生途上の錯誤形成であるとする考え方には論議の余地はない7,9,15,20).しかし脳血管発生のいかなる時期にかかる奇形が発生し,心・大動脈の奇形発生とどのような相関を示すかについては,いまだ一致した見解をみない.今回われわれの調査の結果,Galen動脈瘤を除くAVMとCHDが合併した症例の報告は極めて少ないことが判明した.ここにくも膜下出血を起こしたAVMと心室中隔欠損症(以下VSD)を合併した症例を報告しその興味ある急性期心肺循環系変化につき文献的考察を加えた.
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