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研究
三叉神経痛および顔面痙攣におけるVascular compressionの臨床的意義
著者: 佐々木亮12 早川勲1 土田富穂1 渡辺英寿3 鈴木一郎3 小林武夫4
所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科 2松江市立病院脳神経外科 3東京大学脳神経外科 4東京大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.473 - P.481
文献購入ページに移動三叉神経痛と顔面半側痙攣(以下,顔面痙攣)とは,それぞれ知覚系と運動系の異常で全く異なった現象である.しかしこれら両者の共通の病因としてGardner8,9)らは三叉,顔面神経根に対する脳血管.腫瘍等の機械的圧迫により髄鞘が損傷し,transaxonal short circuitが形成されるという説を提唱した.1966年よりJannetta14)は,これらの疾患ばかりでなく,第Ⅷ脳神経機能障害,舌咽神経痛の病因が脳幹部における各脳神経根に対する血管の圧迫であると考え,hyperactive-hypoactive dysfunction syndromesと総称し,後頭下開頭術によりvascular decompressionを行い,永久的神経欠落症状を残さないすぐれた手術効果を得ている.著者ら21)も1977年の本邦第1報告例より(Fig.1),三叉神経痛と顔面痙攣に対して同様の手術を行い著効を認めたので,手術所見を中心に症状の発現機序,手術適応,方針について述べる.
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