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症例
Hangman's fractureと,動脈瘤へと経過した椎骨動脈動静脈瘻の合併した1例
著者: 秋岡達郎1 奥村修三2 宮田伊知郎3 本間温3
所属機関: 1水島中央病院脳神経外科 2国立岡山病院脳神経外科 3岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.511 - P.515
文献購入ページに移動最近,われわれは交通事故により閉鎖性頭頸部外傷を受け,呼吸停止,心停止の状態で搬入された患者を救急蘇生し,X線検査で第2頸椎椎弓根部骨折と右椎骨動脈C2部の動静脈瘻の合併が証明された症例を経験した.Schneiderらは1965年,交通災害患者にみられた第2頸椎椎弓根部骨折が,絞首刑によって起こる頸椎の骨折と基本的に類似性があるとして,これらの頸椎骨折に"Hangman's fracture"という名称を用い,8例の報告を行っている15).その後hangman's fractureの報告は散見されるが3,16),CT像で椎骨弓の骨折像が明示され,かつ椎骨動脈の動静脈瘻を合併した症例の記載は,われわれの渉猟しえた限りでは見られない.この稀な症例を受傷直後より現在まで約1年半にわたって観察することができ,この間,動静脈瘻が動脈瘤へと経過していくのを確認したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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