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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科9巻5号

1981年04月発行

文献概要

総説

血管内凝固症候群

著者: 田中健蔵1 今村司1

所属機関: 1九州大学病理学教室

ページ範囲:P.549 - P.557

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I.はじめに
 血管凝固症候群(D1C)は,いくつかの機転で,血管内で凝固系が活性化され,全身の細小血管に多数の微小上血栓が形成され,種々な臓器,特に腎,心,脳,下垂体等に生じた微小血栓のために臓器循環を障害し,巣状,ときにびまん性の虚血性変性,壊死巣が生じ,それらの臓器の機能障害が起こる12,21,22,25,26).多発性に微小血栓が形成されるために血液の凝固過程で消費される因子,例えば血小板フィブリノゲン,プロトロンビン,第Ⅴ因子,第Ⅷ因子等が低下し,また二次的な線溶亢進が起こり,フィブリノゲン,フィブリン,第Ⅴ因子,第Ⅷ因子,第【ⅩⅢ】因子等の凝固因子が分解されて凝固障害を来たし,また抗凝固因子の出現も加わって,著明な出血傾向が起こる25,26),血管内血液凝固を起こす原因となった基礎疾患の種類によって,症状はかなりの差があるが,その成因には血管内血液凝固という共通性がある.
 近時,本症候群においては,単に微小循環系に微小血栓が形成されるというだけではなく,それによる組織障害が起こることが重視されている12,25).また,本症候群におけるキニン系の活性化が病態発現と関連して注目されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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