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先達余聞
Wilder Penfield
著者: 北村勝俊1
所属機関: 1九州大学脳神経病研究所施設外科
ページ範囲:P.644 - P.647
文献購入ページに移動 "Marley was dead, to begin with"モントリオールのPenfield家ではクリスマスイヴにPenfield自身クリスマスキャロルを朗読するのが恒例であった.1916年,まだOxfordの学生であった彼は内科のOsler教授宅に下肢骨折の静養がてら居候していた.彼はいう,"私はOsler夫人とともに彼が翌日の講演の最終稿を読み上げるのに耳を傾けた.ちょうど指物師が自分の作品を撫でまわして出来栄えを確かめるかのようであった.若い頃はお世辞にもよい書き手とはいえなかった彼が,後年あれほどの文章を書くようになったのはあの不断の努力の賜である"と,Oslerは彼の心中のヒーローであった.彼はSherrington,Jackson,ListerそれにHippocratesと多くのヒーローを持ったが,すべて唯のCopyistでなくcreatorであった.同時に彼のヒーローは,医師たるものは専門の学問以外の文をも学ぶべきことを教えた.文は人を作るという思いから,Penfieldはシェクスピアやディキンズを愛読した,文を練ることは創造的思考にさえ通じるといい,科学論文にさえリズムを尊重した,彼はよき医師であるとともに,creatorであり,writerであることを目指した.
Wilder Penfieldは1891年,ワシントン州,ロッキー山脈寄りのSpokaneに生まれた.祖父は英国西南部Cornwallからアメリカに移住した医師であった.
Wilder Penfieldは1891年,ワシントン州,ロッキー山脈寄りのSpokaneに生まれた.祖父は英国西南部Cornwallからアメリカに移住した医師であった.
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