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椎骨・脳底動脈の血行
著者: 石川進1
所属機関: 1島根医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.657 - P.667
文献購入ページに移動近年,脳循環・代謝に関する問題は,多くの研究昔の関心の的となり,新しい研究法の導入とともに形態面でも機能面でも著しい発展を遂げてきた.特にpositron emissiom CT等の開発によって,人の脳で三次元的に局所脳血流やglueose代謝が測定できるようになったことは誠に驚異的であり35,46,52),将来これらの方法によって臨床例を対象とした研究が飛躍的に進歩し,病因の解明に,また治療法の改善に大きく貢献することが期待されている.
ここでは,従来研究対象にされることが比較的少なかった椎骨・脳底動脈系の循環をとりあげた,椎骨・脳底動脈系は小脳,大脳後下面ばかりでなく,生命に直結する脳幹に分布しておりながら,この領城の血流量測定が困難であること,頸動脈系の分布領城に比較するとかなり狭いこと,またそのためもあって椎骨・脳底動脈系の血管障害が比較的少ないこと等の理由から頸動脈系ほど研究対象にされなかったのであろう,もっとも脳底部の血管を直接観察して薬剤等に対する反応性をみるといった目的には,脳表に沿ってかなりの距離を走っている脳底動脈は格好な対象とされ,近年,特にvasospasmの研究において,直接あるいは血管写による観察に,また血管片を採取してin vitroで収縮能を測定する方法に盛んに利用されている10,30,50).
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