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症例
脳出血で発症した転移性脳腫瘍—CT像と診断・治療上の問題点
著者: 山内康雄1 栗本匡久1 諏訪純1 三木一仁1 中島孝之1 河村悌夫1 松村浩1 寺浦哲昭2 寺野允将2
所属機関: 1関西医科大学脳神経外科 2京都市立病院脳神経外科
ページ範囲:P.927 - P.933
文献購入ページに移動特発性脳出血の原因として,脳腫瘍の占める割合は0.9-10%4,6,8,15,18-20,24)と比較的稀である.そのなかで転移性脳腫瘍が約半数を占めており,種々の型の頭蓋内出血を生じることが知られている.悪性腫瘍の既往歴が明らかな場合,その診断は困難ではないが,そうでない場合には術前診断は必ずしも容易ではない.卒中様発作で発症し,補助検査で脳内血腫が示唆される場合,術前には特発性脳内血腫と診断され,術中あるいは術後に組織診断で初めて転移性脳腫瘍と判明することも少なからずあると思われる.救急患者として来院するこれらの患者の場合,術前診断,手術適応,治療法について種々の問題を提起するものであり,一般の脳腫瘍あるいは脳出血例とは同一に論じられない面を持っている.転移性脳腫瘍の手術適応,治療方針に関してはなお種々議論のあるところであるが,術前のより正確な診断と予後に対する予測とが重要であることはいうまでもない.CT scanは,これらの問題に関してすぐれた情報を提供してくれるが,出血性転移性脳腫瘍について論じた報告は少ない.
われわれは,最近出血により発症した転移性脳腫瘍3例を経験し,いずれも手術を行い,術前後を通じてCT scanで継時的に観察しえた.その術前CT像の特徴を論じるとともに,追跡CT像を示し,診断,治療上の問題点ならびに手術適応に関し考察を加えて報告する.
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