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文献詳細

雑誌文献

検査と技術1巻2号

1973年05月発行

技術講座 病理

固定標本の切り出しからパラフィン薄切切片の作製

著者: 鬼頭花枝1

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所

ページ範囲:P.68 - P.69

文献概要

1.切り出し
 症例報告あるいは学会発表を必要とする症例は,固定または切り出し前に,カラーおよび白黒の肉眼写真をとっておく.全体の表面および割面像,ときには病巣の拡大写真も必要である.病理医は検査目的に応じて,剔出された標本から必要な組織片を選び出す.生検材料などのように小さな検体は,1晩固定後,依頼書に肉眼所見をスケッチし,色,大きさ,硬度,重量を記載しておく,手術,剖検材料のような大きな検体は,スケッチ用紙に略図を描いて,切り出し部分を明記し,特に健常部から病変への移行部分,断端部,所属リンパ節の変化を入念に調べる.
 組織片の大きさは,通常のスライドガラスに載る程度がよく,厚さ4mm,幅24mm,長さ60mm以内にしておくと整理保存に便利であるが,病変が広範な時は必要に応じて切り出す.切り出した組織片が固定不十分な時は,新しい固定液で再固定する.組織片にはケント紙に必ず鉛筆で番号を記入する.インクやボールペンは,アルコール,キシロールの操作過程で消えてしまうからである.組織片と番号を金属かごに入れる.小さな検体はガーゼに包んで,番号を書いたケント紙と虫ピンで止める.手術材料でたくさんの組織片を切り出した時は,薄切面に墨で番号を書き,番号札とともに区切りした金属かごで処理する(脳の切り出しは墨を用いる方法が最もよい,ただし,濾紙で割面の水分をとって記入しなければ墨はのりにくい).剖検材料は一体ずつ脱水かごを用いて行なう.いずれにしても検体と番号をまちがえないよう注意する.なお切り出しの台は検体の変わるごとに水洗して,ほかの組織片の迷入を防ぐことが大事である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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