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文献概要
医学の進歩をになった人々
北里柴三郎・3
著者: 中溝保三1
所属機関: 1都立荏原病院
ページ範囲:P.49 - P.51
文献購入ページに移動森林太郎・鷗外が軍医としてドイツに留学した時,彼は衛生学をペッテンコーフェルに学んだ.その関係もあってか,当時学会の中心人物としてならび称されていたローベルト・コッホとペッテンコーフェルについては,どちらかといえば,ペッテンコーフェルびいきのかたむきが強かったが,そうかといって,コッホ門下の北里柴三郎と仲が悪かったわけではなく,なにか事ある時は,かげにまわって北里に力ぞえをするようなところがあった.
明治20年,当時の陸軍省医務局長で,内務省の衛生局の兼務もしていた石黒忠悳が,万国衛生会議の出席を兼ねて,ヨーロッパの視察旅行を行なった.このとき森鷗外は,石黒の案内役を買って出た.彼の"独逸日記"の9月28日の項には,次の文章がある.
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