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文献詳細

雑誌文献

検査と技術1巻5号

1973年08月発行

文献概要

医学の進歩をになった人々

北里柴三郎・5

著者: 中溝保三1

所属機関: 1都立荏原病院

ページ範囲:P.49 - P.51

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ペスト菌の発見
 新設の伝染病研究所で北里柴三郎が最初に手をつけた研究は,つつが虫病の病原体を発見しようとする試みであった.このために,明治26年に新潟県に出張して,患者の血液を日本ザルに注射して,病毒の感染実験に成功し,その病原体は,患者の血液中にあるプラスモジウム様の小体であると報告した.しかし,この新説は,一般の承認が得られず,のちに日本の学者によってリケッチア病原説が確立されたのは,ご承知のとおりである.
 明治27年5月に香港の日本領事から電報がはいって,Bubonic plague(ブボーニック・プレーグ)が香港で大流行して,毎日数百人の人がそのために死亡していると知らせてきた.ところが,外務省ではブボーニック・プレーグとはどんな病気かさっぱりわからない.内務省の保健課に問い合わせがあったが,そこでもお手上げになった.そこで北里のもとで研究していた高木友枝に相談があって,高木が調査したら,それが腺ペストであることが判明した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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