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文献詳細

雑誌文献

検査と技術1巻6号

1973年09月発行

文献概要

臨床検査技師のための 生物学

ホメオスタシス

著者: 和田優12

所属機関: 1大東文化大学 2大東医学技術専門学校

ページ範囲:P.24 - P.27

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 先月号において"内部環境は常に一定した状態に維持されている"ことについて述べた.このことに気づいたのは,19世紀の大生理学者クロード・ベルナール(C. Bernard,1813〜1878)である.その後,さらにアメリカの生理学者キャノン(W. B. Cannon,1871〜1945)が外界(外部環境)の変化の中で,生体がどのようにして,その内部環境を一定に保っているかについて研究した結果,それは神経系とホルモンの作用によってなされていること,つまり,"外界の変化が神経系を介してアドレナリンの分泌を促進することによって行なわれる"と考えたのである.この考えはベルナールの考えを一歩前進させたものである.彼はこのような生体の巧妙な調節機構に対して,"ホメオスタシス(homeostasis)"ということばを最初に用いたのである.
 したがって,このことばは先月号で取り扱った水分量,血液中のイオン含量,血糖量などの調節のみならず,体温の維持,いろいろな器官系の働きが統制されている現象,血液中のホルモン含量のバランス,生体の自衛機構(免疫)などのすべての調節機構が働いて,からだを全体として統合することを意味するものである.さらに,今日では生物学の各分野にまで拡張されて用いられている場合がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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