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技術講座 細菌
塗抹検査・1
著者: 小栗豊子1
所属機関: 1順大病院中検
ページ範囲:P.64 - P.65
文献購入ページに移動 感染症の正確な診断は患者の材料より原因となる微生物を証明することによりなされる.このための主な方法としては種々の培地を用いる培養検査による方法のほかに,材料の塗抹標本を作成し,顕微鏡を用いて微生物の有無を調べる塗抹検査による場合がある.一般に培養検査は塗抹検査に比べて微生物の検出率が高く,また正確度の点でもすぐれているが,培養のためには少なくとも1夜は必要であり,結果が得られるまでにはかなりの時間を要する.塗抹検査はこの点短時間で結果が得られるので便利であるが,材料に含まれる微生物が少ない時には検出できない場合が多い.
塗抹検査で陽性となるのは一般細菌(大腸菌,ブドウ球菌が標準となる)では材料1mlあたり10万個以上の菌数であるといわれ,また結核菌(一般細菌よりやや細長い)では材料1mlあたり3〜5万個以上の菌数であるといわれている.したがって菌数の少ない材料では培養検査に頼ることになるが,微生物の中には現在では培養不可能なものもあり,また化学療法中の患者の材料などで化学療法剤により材料中の菌が死滅している場合に,塗抹検査で菌が証明されても培養では検出できないことがある.このような場合には塗抹検査が重視されることはいうまでもない.このように塗抹検査は患者の材料を直接調べるほかに,細菌を同定する際の第一歩としてその形態,配列,グラム染色性などを調べるためにも用いられる.
塗抹検査で陽性となるのは一般細菌(大腸菌,ブドウ球菌が標準となる)では材料1mlあたり10万個以上の菌数であるといわれ,また結核菌(一般細菌よりやや細長い)では材料1mlあたり3〜5万個以上の菌数であるといわれている.したがって菌数の少ない材料では培養検査に頼ることになるが,微生物の中には現在では培養不可能なものもあり,また化学療法中の患者の材料などで化学療法剤により材料中の菌が死滅している場合に,塗抹検査で菌が証明されても培養では検出できないことがある.このような場合には塗抹検査が重視されることはいうまでもない.このように塗抹検査は患者の材料を直接調べるほかに,細菌を同定する際の第一歩としてその形態,配列,グラム染色性などを調べるためにも用いられる.
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