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文献詳細

雑誌文献

検査と技術1巻9号

1973年12月発行

文献概要

技術講座 一般

胃液検査

著者: 相賀静子1

所属機関: 1国立東京第一病院検査科

ページ範囲:P.70 - P.71

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 私たちが通常測定する胃液は胃壁細胞より分泌する塩酸を含み,分泌時のpHは0.88,0.94と低く,0.1規定塩酸液に相当する.しかし実際には胃分泌液は塩酸以外の粘液,唾液,場合によっては十二指腸液,食餌などを混入していてある程度中和されている.したがってpHが1.0以下になることはまれでpH1.5〜2.5ぐらいである.胃液の酸度は同一個人でも日差変動があり,個人差も大きいといわれている.また分泌される塩酸最は生体内外の外種因子に影響され,健康人では尿タンパク陰性というのがほぼ決まっているようには確定的なものではない.そして胃液を採取するために胃を刺激するが,従来は試験食としてカフェイン,エタノールがゾンデから注入されたが,最近はヒスタミンおよびその誘導体,ガストリンなどの薬剤を注射するようになった.
 採取はゾンデを飲ませ,注射してから60分から180分ぐらいまでの長時間かかり,患者の負担は大きい.また使用される滴定試薬の調製には必ずfactorを明らかにし,精密に測定されねばならないので,検査室のはらう労力もかなりのものである.さらにいえば,臨床化学検査の自動化,比色法の普及により,手技としての滴定は胃液検査程度しかなくなりつつある現状を考えると,検査技師の技術として胃液の酸度滴定は重要な位置を占めてきたと思う.胃疾患の診断にたいせつな検査であると同時に,技術トレーニングのひとつとしても,非常にたいせつなことを知ってほしいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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