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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻11号

1982年11月発行

文献概要

病気のはなし

心不全

著者: 佐藤裕之1 加納達二1 岡田了三1

所属機関: 1順天堂大学医学部循環器内科

ページ範囲:P.944 - P.951

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概 念
 心臓は身体のすみずみまで血液を送り出すポンプとして働いており,各器官が必要とする酸素を血液に乗せて分配することにより,生命を保つ重要な機能を果たしている.心不全(cardiac fàilure)とは,必要量の酸素を送り出すことが不可能となった状態を指す.心臓には十分の予備力があり,心送血量(cardiac output)の増加が必要となった場合に,それに追従して適応する力を備えているので,激しい運動をしても心不全となることは少ない.しかし,あまりに過大な送血量の増加が要求されたり,心臓自身のポンプとしての力が低下すると,心不全状態を発生する.これは心臓の代償力を越えた状態と解釈できるので,代償不全(decompensation)状態と言いかえることも可能である.
 この心臓の代償機能を十分発揮するためには,心臓の働きを強める交感神経の緊張やカテコラミン血中濃度の上昇などが比較的早い反応として関与し,心拍数を速めて1分間の送血量を増したり,収縮力を高めて1回の拍出量(stroke volume)を増加させる.ややおくれて出現する反応として腎でのNa,水排泄の減少や,レニン,アルドステロン系の作用による循環血液量の増大による送血量の維持機構がある.これらの機転を通じて心臓への負担増大が続くと,心拡張・肥大を生じることになる1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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