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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻11号

1982年11月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

骨髄腫蛋白の早期検出法

著者: 北村元仕1

所属機関: 1虎の門病院生化学科

ページ範囲:P.957 - P.961

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 このテーマは"検査法の基礎理論"という欄にはふさわしくない.なぜこうなるの?と問われてもわからないことを書かなければならないからである.電気泳動を実施していると,ときにグロブリン領域にシャープな単クローン性の泳動像を検出し,それが臨床的には思いもかけなかった多発性骨髄腫診断の糸口となることがある.セルロースアセテート膜の種類によるとその泳動縞は波状にくねくねと折れまがり,ポンソー3Rに濃染されて血の滴りのように気味悪く見えることさえある.
 臨床医がまだ気がつかないうちに,そして骨のX線写真にも異常のみられない時期に,血清の電気泳動にひょっこり姿を見せる骨髄腫蛋白は,しかしそれをもって直ちに早期検出法というわけにはいかない.例えそれが診断の端緒であっても,すでに骨髄腫としてはかなり進行した状況であることが多く,決定的な治療法のない現在ではせいぜい若干の延命効果を期待する程度にすぎないからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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