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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻11号

1982年11月発行

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トピックス

細胞融合法と免疫工学

著者: 渡辺武1

所属機関: 1佐賀医科大・免疫学

ページ範囲:P.991 - P.991

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 細胞融合法の免疫学への応用であるハイブリドーマ法とそれが産生するモノクロナル抗体の確立は,単に免疫学ばかりでなく,生化学,細胞生理学,そして広く臨床医学に新たな方向性を与えたと言っても過言ではない.この方法は,1975年ミルシュタイン(Milstein)とケーラー(Köhler)によって世界で初めてなされた.すなわち,彼らはリンパ球のB細胞とミェローマ細胞とをウイルス(センダィウイルス,HVJ)で融合し,単一クローン由来の抗体を分泌しつつ,試験管内で増殖しつづける融合細胞(ハイブリドーマ)を作ることに成功した.この方法は,直ちに多くの免疫学者の注目するところとなり,たちまちのうちに,世界中の免疫学者が競って,ハイブリドーマ法によるモノクロナル抗体産生を行うようになった.現在では,方法論にもミエローマ細胞にも改良が加えられ,ほとんど限り知れない応用法が次々と考え出されている.さらに,T細胞由来ハイブリドーマも確立され,T細胞レセプター,T細胞因子(リンホカイン)の解析に大きな役割を果たしている.こういう意味から,ハイブリドーマ法を確立した二人は本年度のノーベル賞候補としてたいへん呼び声が高い.
 モノクロナール抗体は,その特異性の確さと,それを用いることより抗原決定基を一つ一つ分離解析し得るところに,従来の抗血清より得ていた抗体とは全く性質を異にしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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