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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻12号

1982年12月発行

文献概要

技術講座 細菌

Clostridium difficileの分離と同定

著者: 安達桂子1

所属機関: 1東京都養育院付属病院研究検査部

ページ範囲:P.1067 - P.1072

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 Clostridium difficileは1935年にHall,O'Tooleらにより,新生児の糞便の約半数から分離された.1975年,Smithらはガス壊疽,膿瘍,血液,胸水などの様々な検体からの分離を報告したが,C. difficileは非病原性の腐生菌とみなされていた.1977年,Bartlettら1)はクリンダマイシンによるハムスター盲腸炎の実験系を用い,本菌の毒素が腸炎を起こすことを解明し,その後Bartlettら2),Georgeら3),Larsonら4)は,抗生剤による偽膜性大腸炎(Pseudomembranous colitis,PMC)の患者糞便から本菌を分離し,さらにその毒素がC. sordellii抗毒素で中和される細胞障害性を有することを明らかにして,C. diffcileの病原菌としての地位を確立した.国内では,1979年に著者ら5),小林ら6)により,PMC患者糞便から毒素産生性のC. difficileが分離された.本菌はヒトや動物の腸管内に棲息しているが,difllcile(ラテン語中性形容詞),difllcultの語源が示すように,酸素や過酸化物に対してきわめて感受性が高く培養が難しいため,多種類の菌が1g中に1011〜1012個混在する成人糞便から本菌を分離することは容易ではない.したがってC. difficileの検出には,適切な嫌気環境およびすぐれた選択培地が必要になる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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