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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻3号

1982年03月発行

文献概要

技術講座 生化学

血清蛋白分画

著者: 山岸安子1

所属機関: 1自治医科大学病院臨床病理部

ページ範囲:P.231 - P.236

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 ヒトの血清中にはアルブミンをはじめ免疫グロブリンや補体成分,α1,α2,β分画に泳動されるグロブリンなど,現在までに明らかにされている蛋白成分は80種類にも及ぶと言われている.これらの蛋白成分を分画する方法には大きく分けて表1に示したような方法があるが,これらの方法はいずれも血清蛋白の性状を利用したものである.すなわち,蛋白質の有機溶媒や,強酸,強アルカリ溶液,熱に対する沈殿性などを利用した沈殿法や,電解質溶液における表面荷電から分析する電気泳動法,分子の大きさや重さから分析するゲル濾過法や超遠心分析法などがある.また,これらの方法に抗原抗体反応を利用した免疫化学的分析法など方法の種類も多い.
 しかし,日常臨床検査法として最も用いられている方法は,セルロースアセテート電気泳動法や免疫電気泳動法であり,これらの分画により血清蛋白成分に異常が認められた場合に,いろいろな分画方法を利用して検索が進められ,臨床診断の一助となり,治療,経過観察,予後判定の診断に応用される.したがって,血清蛋白に異常があるか否かスクリーニングするセルロースアセテート電気泳動法は重要な日常検査法であり,また,この方法によって得られる5〜6分画値の成績は,ほかの酵素活性測定など単項目の測定から得られる成績より臨床的意義は大きく,この分画法をマスターすることは重要である.ここでは,セルロースアセテート電気泳動法について技術解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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