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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻4号

1982年04月発行

文献概要

マスターしよう基本操作B

抗酸菌の検査法—特に分離培養と簡単な鑑別法

著者: 奥住捷子1 水岡慶二1 正井秀雄2

所属機関: 1東大病院中央検査部 2関東中央病院検査部

ページ範囲:P.365 - P.373

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抗酸菌の感染による疾病として,伝染性の強い慢性特異性炎症性疾患である結核症が存在することは周知のことであるが,近年結核菌以外の抗酸菌によって起こる結核症と酷似する疾患が数多く報告されるようになった.これらの抗酸菌群を非定型抗酸菌と呼んでいる.集落の生化学的,形態学的性状が異なるだけで,その他の点は結核菌とよく似ているが,ヒトからヒトへの伝播性のないこと,抗結核剤が無効である例が多いことなどから,結核菌との鑑別が必要となる.非定型抗酸菌には病原性のあるもの,ないものが含まれ,多種多様であり,抗酸菌の鑑別,同定によって,患者に対する治療方針が決定される.抗酸菌を最初に分離・同定鑑別し得るのは細菌検査室であることを自覚し,手技を十分にマスターしよう.染色:抗酸性染色を実施することで,抗酸菌と他の細菌を区別できる.他の細菌と異なり発育速度が非常に遅いので培養の結果を得る前に,塗抹(標本)の鏡検成績が診断の一助となる例が多い.分離培養:抗酸菌の同定,感受性試験も生菌を得ることから始まるので,前処理液,濃度,時間,検査材料との比率などに注意して,良い結果を得るようにする.感染予防:"結核は治る"という知識のせいか,安全管理軽視がみられるが,より一層の注意が望ましい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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