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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻5号

1982年05月発行

トピックス

わが国におけるLegionella pneumophilaの分離

著者: 斎藤厚1

所属機関: 1長崎大第二内科

ページ範囲:P.443 - P.444

文献概要

 1976年夏米国のフィラデルフィアで発生した原因不明の集団肺炎(Legionnaires'disease,在郷軍人病)はこれまで知られていなかった細菌で起こった細菌性肺炎であることが明らかになり,この菌はLegionella pneumophilaと名付けられた.本菌は従来のいかなる細菌用培地にも発育しないが,その培養法も考按,改良され,本症の診断法(菌の分離,直接螢光抗体法による検体中の菌の証明,間接螢光抗体法による血清抗体価の測定)が確立され,1978年以降は米国のみならず,世界各国から本症の発生が報告され,さらに過去の原因不明の発熱疾患や肺炎のいくつかが本症であったことも明らかにされた.その臨床像は集団肺炎としてみられるものから散発例,特に病院内で感染防御能の低下した患者にopportunistic infectionの形でみられるものの頻度も高いことが注目されてきた.
 本症は我が国にも例外なく存在すると思われていたが本菌の培養法や診断法1)が従来の細菌感染症におけるものとやや趣を異にするため,その発見が遅れたようであり,1980年(昭和55年)11月劇症肺炎で死亡した患者の肺からLegionella pneumophila,serogroup 1が検出されたのが我が国における最初の報告であった(感染症誌,55,124,1981).その後血清学的診断法により本症の集団発生(柏木ら;日医新報,2986,15,1981)が報告され,本症に対する関心も高まってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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