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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻8号

1982年08月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

HCGとLH測定の意義

著者: 熊坂高弘1 森隆生

所属機関: 1獨協医科大学産婦人科

ページ範囲:P.697 - P.702

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 卵巣や睾丸,すなわち性腺の発育とその中におけるホルモン産生と分泌を促進する作用をもつホルモンを,ゴナドトロピン(gonadotropin)つまり性腺刺激ホルモンと総称している.ゴナドトロピンには,follicle stimulating hormone(FSH;卵胞刺激ホルモン),luteinizing hormone(LH;黄体化ホルモン),そしてhuman chorionic gonadotropin(HCG;ヒト絨毛性ゴナドトロピン)がある.LHとFSHは,分子量25,000から30,000であり,下垂体前葉のβ-細胞から分泌されると考えられている.HCGは,分子量36,000から40,000であり,LHと生物活性ならびに免疫活性の点で類似性を認める.HCG産生源は,絨毛組織のジンチチウム細胞層から分泌されると考えられている.
 LH,HCGならびにFSHは糖蛋白ホルモンであり,α,βというアミノ酸配列の異なる二つのサブユニットから構成されている.α-サブユニットは,LHとHCGにのみでなく,FSHやTSH(甲状腺刺激ホルモン)でも共通である.β-サブユニットはFSHやTSHとは明らかに異なるが,LHとHCGにおいては,図1,2で示されるように,アミノ酸116個の中21個が異なり,残り95個のアミノ酸を共通している.元来,LHとHCGを区別して測定することは免疫学的にも交叉性を有し,かなり困難であった.しかしながら,両者を区別することはHCGを産生する絨毛性腫瘍などを管理するうえにおいて極めて重要な意味をもっている.そこで非妊娠時,妊娠時,そして絨毛性腫瘍を有する婦人の尿中あるいは血中LHとHCGの分泌動態を示し,さらにLHとHCGを区別する意義について述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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