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文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻9号

1982年09月発行

文献概要

技術講座 血液

ヘモグロビンAI

著者: 老籾宗忠1

所属機関: 1神戸大学医学部第二内科

ページ範囲:P.793 - P.798

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 1968年Rahbarらにより糖尿病患者のヘモグロビン(Hb)には,電気泳動上majorHbであるHbAIIに対し,fast moving Hbが増加していることが指摘され,fast HbあるいはHbAIと称されている.またこのfast HbはHbのβ鎖のN末端valine,あるいはα,β鎖ともにlysineのε-amino基にグルコースがシッフ(chiff)塩基結合し,さらにはアマドリ(Amadori)転位してケトアミンを形成することから1),glycosylated Hbとも称されている.
 このシッフ塩基結合は可逆的なゆるい結合であり,アマドリ転位生成物であるケトアミンは不可逆性の強固な結合である(図1).さらにカラムクロマトグラフによる分析上,HbAIはHbAI a,b,c,d,eに分けられるが,d,eはごく微量であり,現在はa,b,cが注目されている,そのうちでも量的にHbAIの大半を占めるHbAICがHbAI変動の主体をなしている.このHbAIはグルコースの有無を除けば構造上HbAIIと差がないため,その分析法は主としてグルコースが結合することにより,HbAIIに比べて陰性に荷電することを利用したものが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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