icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術10巻9号

1982年09月発行

文献概要

技術講座 細菌

リン菌,髄膜炎菌の分離と同定

著者: 小原寧1

所属機関: 1神奈川県衛生研究所細菌病理部

ページ範囲:P.810 - P.814

文献購入ページに移動
 リン菌(Neisseria gonorrhoeae)と髄膜炎菌(N.meningitidis)は,それぞれ淋病と流行性脳脊髄膜炎の原因菌として知られる代表的な病原性ナイセリア(Neisseria)である.国内では髄膜炎菌感染症は多くないが,淋病の届出患者は年間7,000件を越える.しかも,性病実態調査の患者数は届出の10数倍で,実態のつかめない女性無自覚症患者をも考慮にいれると,年間の患者実数は10万に近いものと推定される.淋病の届出が少ない理由はいろいろ考えられるが,本菌の検査に対する信頼性の欠如が,医師の検査依頼意欲を失わせているのも理由の一つであると指摘する学者がある.
 両菌種ともいろいろな病態を示すことがあり,非病原性ナイセリアといわれる菌種やブランハメラ(Branhamella catarrhalis)も,病巣から分離されることがある.最近,これらの菌の中に,β-ラクタマーゼ(β-lactamase)を産生するペニシリン耐性株が増加し,その感染症はますます複雑になってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?